乙女心晒し

乙女心という名の恥を晒していきます

私の好きな人⑤

クリスマスどんな女と過ごしたのかなと考えたその瞬間、精神のホルター心電図がピィイイイイイイイイイイイイッっとけたたましく鳴り響き、鼓膜が高山と渓谷の放物線の連続のように波打った。

嫌味にも心電図に映るのは永遠に続くような地平線。心臓は止まるどころか活発になり末端の毛細血管まで不備なくどばどば血液を送り続ける。死んだ時心電図がピーって鳴るのはフィクションの中だけみたいですね。

 

クリスマスじゃなくても心電図が鳴り止まない時はいつだって鼓膜が千切れないように踏ん張ることに必死で、認証パスワード付き写真アプリを開けられない。

余裕がある時は画面から溢れ出る恋を心から楽しめるのに。

 

なんていうのはちょっとした嘘で、私はいつも彼の昔の写真をどうやって見れば良いのか分からない。なぜか鍵付きアプリの中の彼のフォルダを開いた時、急にスマホの電源が落ちたように画面が真っ暗になる感覚がするのだ。何度見てもなにも見えていないような、そんな感覚。

 

 

まず見始めるべきは目か鼻か口か、Tシャツのロゴか学ランの第二ボタンか、それともスニーカーのメーカーか。

 

それほど数は多くない写真の一枚一枚が心にずっしりと重量感をもたらす。それはストレスで万年胃が荒れていても毎年クリスマスケーキを食べてしまうようなものだ。胃もたれするだろうな…と思いながら生クリームとスポンジの誘惑に負けるように、しんどくなるだろうな…と思いながら2次元の彼に誘発されるのだ。

 

最近スマホの容量がパンパンなのも彼の写真のせいなのだろうか。

 

 

それでも、それでもそれでも、私は秒でへし折られるボロッボロに穴が空いたフラグを何本も、何本も何本も無数に抱え、震える手で地面に突き刺していく。諦める諦めないとか、前進とか後退とか、そういう問題じゃない。

 

 

オナニーくらいすきなとこ触らせてくれよ。つむじだろうが鼻の穴だろうがどこだっていいだろ、お前だって賢者タイム承知でチャック下ろすクセに。

いや、鼻の穴デカイのコンプレックスだからこれ以上広がるのは嫌だな…

 

とか考えてる日々の積み重ねが脳裏に映る彼の色彩を徐々に薄めていこうと、私は絶対に手を止めない。

 

 

 

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