乙女心晒し

乙女心という名の恥を晒していきます

私の好きな人②

  好きな人のことを書かせてください。

 

  私は昔から少年って感じのかわいらしい人が好きで、好きな人の、完璧なのに自意識過剰みたいな所に萌えていた。先に言っときますが、ほんとに思春期と呼ばれる時期だったのだから彼は全然ダサくない寧ろかわいいし素晴らしいんです!一言も話す勇気なかったくせに、クソ陰キャが上から眺めてるような目線で語るのキモくて申し訳ない。でも彼の魅力を伝えるためだから仕方ないんです、許してください。まぁどんな言葉を尽くそうが私だけのものなんですがね。

 

 暇な時辛い時死にたい時無双の時、何度も反芻してきた特別な思い出のなかのひとつ。

 私が好きな人に出会った頃、彼はカースト上位も上位だったが彼女がいなかった。

私は昔から授業の合間の5分休憩の時間が嫌いだ。なぜなら気軽に話せる少数の友達が席が近くなることはあまり無く、わざわざ5分休みに友達の席まで話しに行くのもめんどくさければ話題もない。次の授業が移動教室ではなく、トイレに行かない限り自分の席で時間を潰さなければならないく、その時間が手持ち無沙汰だった。その間、周りが騒がしかったり、右隣の席の子と左隣の席の子が私を介して会話を始めたりしたらもう最悪だ。私はいつも筆箱を開け閉めしたり次の授業の教科書を読むふりをしたりしてやり過ごしていた。しかし彼のことを好きになり、そんな地獄の5分休みに楽しみができた。英単語帳を開くとかまぁなんでもいいが、勉強してるフリをしながら彼が友達と話している声を耳を潜めて聞くのだ。騒がしい教室の中彼の声だけに集中することは、私にとって茶こしで粉砂糖とこんぺいとうを分別するくらいには簡単だった。声量は大きめだけど低くて響かない特徴的な彼の声は涙が出るほど素敵だ。本当は、引き笑いをする度にエロティックに動いていただろう彼の喉仏の振動を、触って確かめてみたかった。彼は何組の誰々さんがかわいいとか、彼女欲しいなというような話をよくしていた。私は、その大きめな声は彼がクラスメイトに自分の優位性を示しているのだということに気が付いた。俺は彼女がいるべき人間だ、といういじらしい誇示。そんな方法じゃみんな馬鹿だからわかんないよ、もっと権威を示さないと。

 彼の根本にある自信のなさと、胃が荒れるほど酸味の強い愛嬌を私だけが理解していた。

 

 

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