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わたしはあたまがおかしい。
社会に普通扱いされない怒りでいつも頭はふつふつと沸いていて、どうやって傷付けようか、その方法ばかり考えている。そのことしか考えることがないせいで傷付けるためのパターンは増え続けるけど、実践はあまりしない。やはりあたまがおかしいせいで実践を試みた時酷く人を傷付けてしまった。だから本番も脳内で机上の空論。
私はまるい。
脚も手も乳首も、目も臍も輪郭もまるい。
社会の暗黙の了解という多面体がもつ凶器と向き合う時、私には、わたしには低反発クッションで受け止めるようなまるい柔らかさがある。その立体の角が率先して重力に従う時、接地面が波のように楕円形に広がる瞬間、鈍く痛い。
私はあたまがおかしいのに、
髪は平凡な茶髪で、ベージュのトレンチコートをもってて、どこかしこもまるくて気味が悪い。
汚いおっさんと一緒に狭い浴槽に入っても気分はいつもよりマシで、こっそりタイルに死ねなんて書いたりしない。一軒家で1人、深夜に這いながら脱衣所まで行く時のほうが酷いから。
他人は私の表面を正常に、中身を異常にする。それが私の社会化。