乙女心晒し

乙女心という名の恥を晒していきます

ルッキズム

 高校生の頃、私はクラスで一番可愛い女子になりたくて仕方なかった。コミュ障でカースト底辺で愛嬌の欠片も無いのに男子の人気投票に名前が挙がる女子になりたかった。

 

 暗記力に長けていた私は中学の頃は勉強ができたが、地頭が悪いため進学校の高校に通いだすと、周りと比べて劣等感を抱いてばかりだった。高校に行くまでは勉強ができること(テストで正しい解答を紙に書くこと)と頭が良いこととの関係性は気薄だと思っていたのに、蓋を開けるとそのふたつは比例するらしかった。同級生全員が要領が良くて勉強も運動もできて他人に優しくする心の余裕もあるように見えて、学歴社会がとても正しいもののように思えた。そんな中で私が唯一自信がもてることは目に見えて分かりやすい顔の造りで、相対評価でかなり可愛いと思っていた。プライドが高い私はその頃コンプレックス塗れでかなり精神的に追い込まれていて、私は顔だけは可愛い、と思い込まないと学校に行けない状態だった。そんな中、毎日鏡を凝視して顔のパーツを確認していると、考えられないほど小鼻が大きく奇形である気がしてきた。可愛いと言われるほど、鼻の穴がデカくて本当は可愛くないことがバレたらどうしようと不安で仕方なかった。鼻を矯正するための美容器具を買ったり、風呂上がりに即冷水を鼻にかければ小鼻が小さくなるというネット記事を参考にしてそれを冬でも毎日した。鼻のコンプレックスから電車での人の視線も怖くなり、息を吸いすぎると鼻の穴がデカくなるかもしれないという謎の考えから鼻呼吸の仕方が分からなくなって逆に過呼吸になったりもした。それでも当時の私にとってルッキズムは生き抜くための最後の手段だった。

 

 

 

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