推しおばあちゃん
老人ホームで短期バイトしていた。施設の中にキッチンとリビングと1人部屋がたくさん、という家みたいな作りで、おじいちゃんおばあちゃんがテレビを見たりお茶を飲んだりしてのんびりと暮らしていた。将来はこんな高級老人ホームに入りたいものだなぁと思った。
よくお話をしてくれるおばあちゃんがいて、色白でくっきり二重、綺麗な顔をしていた。認知症で言葉に統一性が無かったが、こちらが説得されるようなはきはきとした口調で優しさの奥に鋭い眼差しを感じた。
彼女は私が手を摩ると嬉しそうに手を握ってくれた。手の感触と血管の形が亡くなった祖母に似ていて安心感があり、とにかく彼女と手を繋ぎたくて仕方なくなった私は何度も構いに行った。機嫌が悪い時もあったが、大概手を繋いで楽しそうにお話をしてくれた。
彼女は1番の推しになったが、他のおじいちゃんおばあちゃんもお世話をしているととにかくかわいく見えてきて、膨大な時間生きてきて、様々な経験をしてきた結果がこのかわいさってどういうこと?老いるって希望だなというレベルで愛しかった。(ただの短期バイトだから介護の大変さを分かっていないだけであるというのは重々承知であります。)
バイト最終日に推しに「私今日でここ最後なんです、離れ離れになっちゃうんです」と伝えると、色々な発言の中に「それは私つらいわあ」という言葉があり、私は感激した。
彼女にまた会いたい。
けっこう前に食べたやつだけど、一番下のソーダゼリーの水色が綺麗だった。頑張って見ないフリしようとしても何度もチラ見しちゃうような色。あ、ファミマのフルーツポンチです。